頑張っている女性達の紹介
レタスとキャベツの農業生産法人
嶋﨑 田鶴子
有限会社トップリバー 代表取締役
農業法人でありながらちょっと異なる事への挑戦
■活動内容 紹介
有限会社トップリバーは、御代田町と富士見町に事務所がある、レタスやキャベツを栽培する農業生産法人です。私はそこの代表をしています。
有限会社トップリバーの特徴と言えば一番は農産物の販売をJAや市場に依頼するのではなく、外食レストランやコンビニのお弁当などを作っている工場などと直接契約して販売しているということです。
次に、新規就農者の育成です。非農家の若者を中心に15名が弊社で研修しています。
そんな研修生のいる事務所を紹介します。
農業法人でありながらちょっと異なるイメージです。意外と知られていないのが、フリースペースの事務所になっているところです。テーブルと椅子が固定されてなく、どこでも仕事ができるようになっています。都会のおしゃれなオフィスではありませんが、畑から帰ってきた従業員が自由な場所で、農業について話し合うことができます。もちろんレタスの生育の話や、品種の話や、農業経営の話をしています。
夕方、日が暮れるころ、研修中の社員が戻ってきて、「今日の定植はどこだった?」「〇〇の圃場はまだちょっと収穫できないですね」「ちょっと時間かかりすぎてない?」「パートの○○さんは子供さんの運動会で休みだよ」などといった会話が始まります。
営業担当者から、「明日朝7時にグリーンリーフの注文があるから朝一番におねがいします。」
そんな会話を、自室で聞きながら社員の様子を見ています。時には「機械操作に慣れた?」「パートさんへの指示はうまくいっている?」「疲れてない」「計画に対して現状はどうなっているの」と問いかけることで、経営全般を考えています。
富士見町にも同じような拠点があります。富士見みらいプロジェクトによって集出荷設備と研修所を作り、富士見地区での野菜産地づくりを行っています。富士見農場の大きな特徴は、真夏(7月〜8月)でも、レタス出荷ができる産地で御代田地区と産地リレーができる点です。
昨年末に夫である先代代表から引き継いだ有限会社トップリバーでの私の大きな仕事は、農業活動を通じてすべての人を幸せにすることです。その手段として有限会社トップリバーには3つのビジョンがあります。
①農業界をけん引する農業者の育成
②生産者の所得の向上
③持続可能な農業の実践
これを実現するために、グローバルギャップの認証を取得したりスマート農業の取り組みを行っています。これらの事業を進めるために、様々な場面でIT化を進めてきました。その実例として、社員一人一人にパソコンを貸与しています。
もともと理系出身の私は、有限会社トップリバー設立当初から、農業の栽培管理をパソコンでできるようにしたいと思っていました。インターネットのインフラが整備されてきたのと同じように、有限会社トップリバーのIT化も進めてきました。社内サーバーの導入、そしてクラウドサービスを利用した管理体制へ移行することができました。
スマート農業と聞くと、ドローンであったり自動運転のトラクターなどが注力されていますが、そのような自動化を行い生産性を上げるためには、実際の農業の情報を正確に集積することから始めるべきだと思って、まずは農業データの集積を行っています。その結果として、現在弊社ではAIを使った収穫予測日の運用を始めています。定植をすると収穫日がAI収穫日として表示されるので、それをもとに販売計画を立てることで、有利販売につながっていきます。それが弊社の2番目のビジョン、生産者の所得向上へつながることです。
まだまだ実証段階ですが、AIを使った収穫予測によって契約先との有利販売は確実に進んでいます。
もう一つのビジョン、持続可能な農業としては、長野県SDGs推進企業に認証登録されたことで、具体的に進み始めています。化学肥料の使用量、農薬の使用回数の低減に向けて、動き出しています。その原動力は農業を職業として選んで弊社へ入社した若者たちの力です。
現在御代田町は住みたい町として注目をされていますが、その住みたい町を続けるためには農業の振興は欠かせない事業だと思います。目新しい特産物を作ることではなく、もともとレタス産地として伸びてきた農業を持続させるために、産地としての強みを生かした農業を続けていくべきだと考えています。それには担い手の確保、所得安定と、継続だと思います。売り上げ確保とともに経営安定には、担い手の育成、それも経営感覚を身に着けた農業経営者の育成です。弊社の人材育成の基本は経営感覚のある農業経営者です。