■活動内容 紹介

面 替

中村 里子

おもがえる

(ボランティアグループ)

里山の再生、整備、また、学校が苦手な子どもの居場所作りに勤しむグループ

代 表

 

 

面替蘇生のLead Actor

Satoko Nakamura

2019年夏、家族5人で神戸から御代田町に引っ越してきました。

 

軽トラック十数台分の荷物を処分し、5LDKの戸建てから、2DKの賃貸アパートに引っ越して5人で生活していました。生活環境は激変しました。

 

それでも、御代田町の広い空と、自然豊かな景色、心と体に優しい食べ物、何よりも御代田町で出会った方々が私たち家族の新しい人生を見守ってくださったおかげで、今ではとても充実した日々を送っています。

 

引越しのきっかけは3人の子ども達が不登校になったことでした。子ども達のために、環境を変えることを考えて、日本のあらゆる場所や海外まで、様々な可能性を調べていました。そんな中、私自身がストレスで外出が困難な状況になってしまったんです。

 

”もう、ここ(神戸)にいるのは限界かもしれない”

 

結果的に、私が昔から憧れていた”長野の山並み”が見える場所を探していた時に出会った不動産屋さんに御代田町を紹介していただき、空の広さと浅間山の雄大さに一目惚れして決めました。御代田町へ初めて訪れたのが2019年の1月。その年の夏にはもう引っ越していました。

そして、引っ越した2週間後ぐらいに、”通い稲作塾”に家族で参加しました。子ども達が学校へ行かなくなった事で、”生きる力”についてとても考えさせられ、そんな中で、”自分達の力で食糧と作る”という事に関心を持っていたので、稲作を体験させてもらえるのはとてもありがたかったんです。その時は”体験”するぐらいの気持ちでした。

 

ところが、稲作塾で出会った面替のSさんが、学校に行っていない我が家の子ども達の事を気にかけてくださって。長男がSさんのブルーベリー畑のお手伝いに行くようになったんです。そのお礼に私たち夫婦も時々畑に行ってお手伝いをしているうちに、私がブルーベリーの剪定にハマってしまいました。お手伝いを始めた時は、まだ引越しして4ヶ月ほどしか経っておらず、正直、私の体調は万全ではありませんでした。それでも、”あの畑に行ってスッキリしたい”。そんな想いで必死に慣れない車の運転をして、週に2〜3回ほどのブルーベリーに向き合う時間が私の心を少しずつ癒してくれました。振り返ると、私のリハビリのような期間でした。作業をしながらSさんから聞かせていただく自然についての話もとても楽しくて、心がワクワクする感覚を思い出させてくださったんです。

そんなきっかけから、気がつけば、引越しして1年も経たない2020年春にはお借りした畑で野菜作りにチャレンジして、秋頃から面替の自然風景を復活させたいと竹を伐採するなどの作業を毎朝するようになり、2021年には田んぼをお借りして自分達でお米を作り、9月には面替の空き家にご縁をいただき引っ越しする事ができました。更には、毎朝の作業をする仲間が増えて、ボランティアグループまで作ってしまいました。2022年からは、その仲間で学校が苦手な子ども達や、地域の方々が気軽に立ち寄れる場所作りも初めています。

 

おかげさまで引越し前には想像もできなかった充実した日々を送る事ができています。

 

 

学校に行けなくなった3人の子ども達ですが、相変わらず学校には行っておりません。長男に関しては、高校への進学もしていません。ですが、3人とも”学校へ行かない”事を、”自分の人生の選択”として、日々、自分と向き合い過ごしています。

 

長男は、引っ越してから描くようになったボールペンでのイラストを2021年12月に浅間縄文ミュージアムの企画展示室にて個展をさせていただきました。長女は、相変わらず外出が苦手ではありますが、得意なゲームのスキルを磨きつつ、好きなお菓子作りの腕を磨き、時々夕飯を作ってくれて私を助けてくれています。次女は、面替の自然の中で学校が苦手なお友達に出会った事で、同年代の子ども達との関わりを少しずつ増やす事ができています。物づくりが好きで、いろんなものを作ったり、イラストを描いたりしています。

 

我が家の子ども達の今があるのは、御代田町教育委員会の方々や先生方のおかげでもあります。正直、引越し前は、”学校へいけない事”を”受け入れてもらえないかも”と覚悟していました。万が一そうなったとしても、私が壁となって、子ども達は御代田町の自然の中でのびのび過ごせれば良い。そう思っていたんです。ところが、結果的には我が家の子ども達の状況を尊重してくださり、地域との繋がりをつくれるようにと様々なサポートをしてくださっています。”不登校”とよばれる子ども達が増えていく中、このような受け入れ体勢があるというのは、これからの時代、違う意味での”教育移住”のきっかけになる気がしています。私もそんな環境づくりを、少しでもお手伝いができればと思っています。

 

最後に、私は御代田町の自然、特に面替の自然が大好きです。子ども達の不登校をきっかけに、人生がどうなるかとかなり不安な日々もありましたが、おかげで今の生活があると思うと、子ども達にも感謝するばかりです。

 

そして、”環境”というものがもたらす生活への影響力はすごいものだなと、引越しを通じて身を以て痛感しています。御代田町の環境、そして、これまでに御代田町を支えてこられた方々に感謝すると共に、微力ではありますが、私もこの環境を守っていけるように、これからもコツコツと活動を続けていきたいと思います。

 

 

御代田町社会福祉協議会

〒389-0206 長野県北佐久郡御代田町御代田1772-1 ハートピアみよた

       TEL:0267-32-1100 FAX:0267-32-1111